趣味で読む西洋古典 - KotenFan

2020/1/11作成(2020/9/23更新)

日本国内の出版物

一つ目は1950年頃に出版された「岩波ギリシア・ラテン原典叢書」。クセノフォンやプラトンがありますが、既に絶版です。二つ目は「大学書林語学文庫」。ホメロスやトゥキディデス等、いくつか出ており、新品で購入可能です(2020年9月23日現在)。どちらも大学図書館に所蔵されていることが多いので、卒業大学に無ければ国公立大学図書館を探してみるのが良いと思います。一方、英語で書かれた注釈書は非常に豊富です(同じく大学図書館によく所蔵されています)。どの注釈書を選んだら良いのかについては、個々に見ていくときりがないので、以下でいくつかのシリーズを紹介します。

Bristol Classical Press

初学者向けテキストとして挙げられるのは「Bristol Classical Press」シリーズです。1冊100ページ程度と分厚くないものが多く、解説、注釈、語彙集が付いており、原典講読の学習に使いやすいです。Amazon.co.jpやAmazon.comでは「Bcp Greek(またはLatin) Texts」でも検索出来ます。

Scholar SELECT

定評ある注釈書を再販しているシリーズです。例えば、プラトンの『法律』であれば『The Laws of Plato; the Text ed. With Introduction, Notes, etc Volume 1』、『プロタゴラス』であれば『Protagoras; With Introd., Notes and Appendices by J. Adam and A.M. Adam』。印刷の品質はあまりよくありません。また、厄介なことに、「Scholar SELECT」と検索してもうまくヒットしないことがあります。ハードカバーとペーパーバックがあり、特定の出版社から出ているというわけでもなく、同じ本でも複数のバージョンがあったりします(未確認ですが内容は同じだと思います。)。なお、『プロタゴラス』のJ. Adam and A.M. Adam版は、「Bristol Classical Press」シリーズにもあります。

2種類のCambridge

表紙の色が黄色と緑の「Cambridge Greek and Latin Classics」は初学者向け、オレンジの「Cambridge Classical Texts and Commentaries」は専門研究者向けのようです。

Oxford Classical Texts他

略してOCT。岩波のプラトンの翻訳で底本としてよく用いられているJohn Burnetの『Platonis Opera』もこのシリーズです。上で紹介したものと異なり、文法的な注釈は無く、各写本の異同や語句の加除などテクストの校訂(校注)に関する注釈が付いています。一冊に多くの古典作品のテクストが収められているのでお得(?)です。前書きはラテン語で書かれているそうです(私は読めません)。

その他に、注釈は少ないですが英語との対訳になっている「Loeb Classical Library」は、英語に堪能であれば使いやすいと思います。Oxford等から出版されていない古典作品でも、このLoebシリーズを探せば大体あります。文庫本サイズで軽いのも長所です。

購入やダウンロード

購入する場合はアマゾンとブックデポジトリーを探せば大体のものは手に入ると思います。なお、Amazon.co.jpではレビューが殆どついていませんが、Amazon.comでは時々ついていますので参考程度に。脱線しますが、レビューを機械翻訳にかけて読む際は、Google翻訳もいいですが2000字までならみらい翻訳がおすすめです。

著作権が切れているものは、Archive.orgGoogle Booksにあればダウンロードできます。英語版Wikipediaの各古典作品のページに、これらのサイトへのリンクが貼ってあることもあります。ここ100~150年ぐらいの間に出版された定評のある注釈書は勿論、ステファヌス版プラトン全集(1578年出版)のような相当古いものまで、簡単に手に入ります。